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コラム
  • 高断熱・高気密
2023.07.13

私たちが「C値」を測定し続けている理由

岡崎市で高気密高断熱の注文住宅を手がけるユートピア建設です。

前回こちらのコラムで、猛暑の夏でも快適に暮らせる住まいについてお話しさせていただきました。
また6月のコラムでは、当社の一級建築士・杉浦に、住宅の気密性能について解説してもらいました。

>【一級建築士・杉浦に聞く!】 住宅の気密性能って何ですか?

その中で、気密性能を数値化した「C値」についてもお話しさせていただいていますが、今回はこの「C値」について、もう少し詳しくご説明したいと思います。

というのもこの「C値」、全ての住宅会社が測定しているわけではないため、住まいを建てようと検討中の方にとって「どれくらい重要なのかわからない」という声をいただくこともあるからです。

気密性能を数値化した「C値」

C値を測定しなくても問題ないけど・・・

改めて説明すると、C値とは住宅における相当隙間面積のことです。建物全体にある隙間面積(㎠)を延床面積(㎡)で割った数値で、建築した建物の気密性能を確認する指標として用いられています。
その測定は、実際に完成した新築住宅や既にある中古住宅などの建物室内で、専門の気密測定試験機を使って行います。そのため完成後又は施行中の現場で測定する必要があり、事前に計算によって性能を提示することが難しいものです。

C値は住宅の気密性能を表す指標として、「住宅に係るエネルギーの合理化に関する建築主の判断の基準」(省エネ法)で用いられていますが、2009年に改訂された際に、気密住宅の規定および数値基準は削除されました。
また、2013年に省エネルギー基準が改訂されて以降は、建物と設備機能を一体化して建物の「一次エネルギー消費量」を評価する指標が使われるようになり、気密性のC値よりも断熱性のUA値が多く用いられるようになったのです。

「UA値は重要!」でも国の基準やZEH基準にない「C値」は必要ない。
住宅会社で説明を受けるときに、「UA値」や「ZEH」などの言葉が良く出てくるのですが、「C値」があまり出てこない理由はここにあります。

以前は寒冷地でC値2.0㎠/㎡、その他の地域でC値5㎠/㎡という基準が存在しました。ところが、「施工前に数値が確認できない」や「施工後の検査にコストがかかる」などの理由から途中で削除されてしまいました。国が基準を設けていないために、このように「C値は必要ない」といった声が上がりますが、ユートピア建設はこの数値を重視しているのです。

ユートピア建設が「C値が重要」と考える理由


省エネルギーで部屋の温度を快適にする

気密性が低いと、冬は暖房をつけておいても温かい空気が屋根から外に漏れ、漏れた分冷たい空気が家に流れ込み、足元が冷え不快感はさらに増していきます。夏は蒸し暑い外気が入り、エアコンをフルパワーで使用することになり、電気代に影響します。

結露による壁内の腐敗や腐朽菌を防ぐ

冬の乾燥した外気と比べ、家の中は湿気が大量に発生しています。そのため、外壁や床などの隙間があると隙間から湿気が壁内に流れ込んでしまい、壁の中で結露して柱を腐らせ、壁の中の腐朽菌を増やしてしまいます。
夏場、冬場に室内と室外を行ったり来たりする湿気は壁内で結露をおこし構造材にダメージを与えてしまうので、家の腐敗を防ぐためには、家の隙間を可能な限り少なくすることが必要です。

換気の効率化で、嫌な臭いを防ぐ

人が生活していると、水蒸気や二酸化炭素、匂い成分など様々な汚染物質が室内で発生します。この汚染物質を屋外に排出するには定期的な換気が必要です。隙間の多い部屋と隙間の少ない部屋が混在していると、換気扇でうまく換気することができません。汚染物質が溜まった部屋を造らないためには、家中すべてで可能な限り隙間を少なくすることが必要です。

大気汚染物質の侵入を防ぐ

昔と比べ今は、大陸から流れてくる黄砂やPM2.5、一年を通して飛散する花粉など、健康被害の原因になる有害物質が年々増しています。
隙間の多い家では換気口にフィルターを付けても、隙間から汚染物質が室内に侵入してしまいます。隙間の少ない家は、適切なフィルターを設置することで、いつでも綺麗な空気を家に入れることが可能になります。

依頼する建築会社の施工品質を確認できる

隙間のない家を実現するには、高い技術力と広い知識が必要になります。技術力が低いとどんなに高性能の材料を使っても施工精度が低くなり、隙間の大きな家になってしまいます。隙間の無い家づくりは会社選びにも大きな役割になります。

ただ、国の基準にないから必要ないのではなく、快適な暮らしのためにC値は非常に大事な数値基準だと考えています。
ユートピア建設は、C値0.13(2022年度引き渡し物件の平均・施工途中での気密測定)という日本でもトップクラスの高い水準を実現。その確認のため、全ての住宅で気密測定を実施し、ご報告しています。